富野講演会
北里大学とゆー薬学の大学で何故か富野ヨシユキの講演会がありまして、友人のツテで潜り込みに成功の巻。
以前も高田馬場まんがの森で講演を聞きまして、彼の講演は面白いのですが、なんというか、こう、感想を言い難い。自分を随分卑下するからなのではないかと想像しますが、この謎のガンダム全盛にあって、ポーズかもしれんけど「俺みたいなもんは」と言ってきかないというのはすごいなぁと。そこは富野だからなのかもしれません。
で、講演はやっぱり、「回答の無い、議題を提示して盛り上げては去っていく富野哲学トーク」が中心でした。あとは「映像の原則」の話。正直言って、前者よりも後者が遥かに面白い。やはり映像の実力者が語る映像の話は面白い。カミテシモテとか。絵に凝る映像作家・漫画作家は絵が好きでそのせいでなかなかできんかったりするけど、そんなもん観客は二の次なんだよ馬鹿。みたいな話で、当たり前かもしれないけど、富野の口から聞けると重みが違いまして、たいそう為になった気がします。
- ニュータイプなんて概念はでっちあげ
- ニュータイプを特殊能力だとずっと捉えていたが、最近は価値基準だと捉えている。
- 江戸時代とかみたいな大きな内戦を起こさない時代を結構作る日本人もニュータイプ的。
- でもニュータイプじゃなくて普通の人じゃねえの?
- 質問:じゃあニュータイプの可能性はなんでしょうか?
- 回答:ニュータイプの可能性なんて無えよ!
- 隣人と仲良くするのが最上。
という感じで、まぁでっちあげから始まったんじゃしょうがないけど、SFとかアニメとかロボットとか超能力者を描き続けた人の現在の結論は、「隣の人と仲良くなろう」「隣の人に認めてもらおう」「そのためには自分だって努力せんといかんのよ」ということで、社会的に極めてまっとうで正しい結論となっております。これ、新約Zのテーマのようです。
僕はよく分からんですが、この「ニュータイプは駄目」発言は、人によってはショックなのかもしれませんね。重力に魂が云々も妄言だと認めたわけで。でもまぁ、前から「スぺースコロニーが実現したって、あんなとこに住もうとする奴ァいねえ」と発言してるからそうでもないか。
前の講演もそうでしたが、意外といっては失礼ですが非常にまっとうな考えをお持ちで、それを若い人に理解してもらいたい、という感じでした。いいおっさんや。60過ぎだけど。