千切っては投げ

かつてはテキストや漫画読み、漫画描き。今はほとんど将棋です。

グリップにアタリメ

今回は「あぶさん」から引用しました。
影浦安武少年は高校球児最後の夏に二日酔いの状態でベンチ入りする奇行を行いまして、最終回に代打で出場(この時、岩田監督から渡されたニンニクを嬉しそうにむしゃむしゃ齧って酒の臭いを消す大奇行作戦を決行。しかも成功。)して特大ホームランを放つのですが、ベースを周っている時にヘルメットに戻してしまう奇行によって二日酔いがバレ、幻のホームランに終わるのですが、この時の打席でグリップに巻いていたアタリメ(酒の肴)を食べるという奇行を行うのでした。
≪追記≫
これに感銘を受けた幼少時代の私は、少年野球の試合でATARIMEをグリップに巻いて打席に立とうとしましたが、特に粘性が強いわけでも柔らかいわけでもないためうまく巻けず、悲しい思いをしたことは言うまでもない。というか失敗して良かった。
≪追々記≫
「グリップに結べばいいじゃないか」
そういう声が聞こえてきそうである。
当時の私も勿論その方法があることは理解していた。しかし、作中でヤスタケ(現国民的大打者)(妄想の)がアタリメを食べる時に、特にそのような描写はなく、つまり、グリップに巻きついているATARIMEの先をついばみ、そのままするすると食しているように見えるのだ。寄席芸人伝やカムイ伝などをよく読んでいたことからも解るように、当時純粋だった私は、作者―水島新司―の表現をそのまま実行することに意義を見出していたのである。
このように水島新司を敬愛する一方で、ヤスタケが女性のおっぱいの事を考えながら食堂に入った時、うっかり「牛乳ください。ダブルで!」と答えるセンス、これはいただけないなと思うこともありました。