千切っては投げ

かつてはテキストや漫画読み、漫画描き。今はほとんど将棋です。

「移動都市」を読んだ

移動都市 (創元SF文庫)

移動都市 (創元SF文庫)

活字一冊読み終わるのは物凄く久しぶり。活字といっても寓話ですので漫画と似たようなモンであるし、ビジネス書とか読んでる友人は凄いなぁと思わざるを得ない。
で、本書は買ったのは春前くらいだったのですが、開いて最初の2行の読んで満足してしまい、ずっと放置してました。やはり、嘘をさも当然のように語るのは素敵です。虚言、とでもいいましょうか。虚言使いのマナーも弁えており、極めて爽快です。虚言使いのマナーって何?
最近私は、作家というか、寓話製作者、つまり虚言癖を作品にぶつける人たちのことを考えるとwktkしてしまいます。私もその切れっぱしに属する人間ですが、「有りもしない事を、必死に考えて、いいアイディアが浮かんだら満面の笑み。浮かばなかったらゾンビの如し」という、なんて言いましょうか、救い難い、ある種の能天気な暗いんだか明るいんだか解らない異常性を思うと、やはりwktkなのです。どんなに感動する映画を観ても、「でもそれ虚言じゃん」と思うと、面白くてしかたありません。どうも私が救い難いだけというか、壮絶に失礼な事を申している自覚はあるんですけど、どうにもこうにもすみません。

まぁそれはそれとして本作について。私はてっきり、「遠い未来。荒野を歩き回る巨大都市で生活する人類。何故巨大都市が歩き回るようになったのか、誰が建造したのか、いつから人類が住み着き始めたかは定かではない。都市は荒野で他の都市を見つけると襲い掛かり文字通り食べ尽くす。人類はそのおこぼれを拾って生きながらえるのだ。このように、都市に住むというよりは寄生して生きる人類であったが、おこぼれを材料に科学を発達させ、この移動都市に反撃を試みる者、脱出を試みる者が現れ始めたのだった。」みたいな話と思っていたら、違った。